2050年カーボンニュートラル実現は可能?IEAが公開したロードマップから徹底考察

はじめに

5月18日にIEAが2050年に向けカーボンニュートラルのロードマップを公表しました。

参考:Net Zero by 2050 – Analysis – IEA(IEAレポート)

極めて困難なチャレンジであるとしたうえで、それは、国際協力により達成可能だと書かれています。本日は改めて、カーボンニュートラルに向けて、世界がどのように動いていくのか。また、国内ではどのような動きが始まっているのか。についてお話させて頂きます。

カーボンニュートラルへの道のりは険しい

カーボンニュートラルは、普段から耳にする機会が多いので、簡単に達成できるのかと思ってしまいますが、実は極めて難しい道のりです。世界の喫緊の課題としては、再生可能エネルギー、EV、エネルギー効率の高い建物の改造などが挙げられます。

2050年にカーボンニュートラルを達成するには、利用可能なテクノロジーを迅速に展開し、まだ市場に出ていないテクノロジーを広く使用する必要があると言われています。そして、これらの新しいテクノロジーを市場に投入するには、2020年代を大規模なクリーンエネルギー拡大の10年にする必要があります。つまり、世界にとって、この10年は、カーボンニュートラルを達成できるかどうかのカギを握るとても重要な時間なのです。

反対に言えば、この10年間でクリーンエネルギーを拡大できなければ、2030年以降のカーボンニュートラルへの道のりは非常に窮屈なものとなり、実現することが難しくなるのです。

また、再エネの比率については、2050年には90%が再生可能エネルギーから発電されるようになるだろうと言われています。そのうちの70%は太陽光と風力が占めています。口で言うのは簡単ですが、天候などの条件によって、発電量が左右される再エネを90%まで増やすというのは、簡単なことではありません(現状は30%にも達していません)

想定では、太陽光発電容量は、現在から2050年の間に20倍に増加し、風力発電は11倍に増加します。

果てしない数字だということがお分かりいただけると思います。

クリーンエネルギーへの投資の急増は、雇用と成長をもたらす可能性がある

ここまでの話を聞くと難しいだけにも見えるカーボンニュートラルへの挑戦ですが、環境への貢献以外にも実は大きなメリットがあります。それは雇用です。

新しい活動とクリーンエネルギーへの投資のおかげで、2030年までに1,400万人の雇用が創出され、実質的に新しい雇用機会をもたらすと言われています。また、それに加え、より効率的な電化製品、電気および燃料電池車、建物の改造およびエネルギー効率の高い建設に費やすには、さらに1,600万人の労働者が必要になるそうです。

雇用が増えるということは、経済成長にもつながります。環境への取り組みと聞くと、いろんなことを縮小するイメージもありますが、意外にも雇用が増えるというプラスの効果があるのです。

なんと、本レポートでは、2050年の世界のエネルギー需要は現在よりも約8%小さくなっているが、経済は2倍以上になり、人口は20億人増えていると記されています。

一方で、化石燃料にかかわる仕事についている人の雇用機会減少にも触れています。こちらは、雇用損失に対処するために慎重な政策を行う必要がありそうです。

クリーンエネルギー投資の歴史的な急増を促進する

2050年までにカーボンニュートラルを達成するには、世界中の年間クリーンエネルギー投資は2030年までに3倍以上になり、約4兆ドルになる必要があります。日本円にすると約435兆円です。これを毎年、クリーンエネルギーに投資するというのです。

公的な資金はもちろん、民間投資も積極的に活用しないと、技術革新や新しい産業の誕生は起こりづらくなります。これから、ますますクリーンエネルギーへの投資は加速していくでしょう。

日本国内大手企業の取り組みは?

では、日本国内では、どのような動きがあるのでしょうか。いくつかご紹介します。

ソニーグループ
30年に米国で、40年に全世界で電力を再生可能エネルギー由来に替える。欧州と中国では導入済み。原材料や部品の調達先企業や製造委託先の排出削減を促す。

キリンホールディングス
30年に排出量を19年比5割減らし50年に実質ゼロにする。足がかりとして子会社キリンビールの名古屋など4工場の電力の一部を太陽光発電に転換する。専門事業者に工場専用の発電所を設置してもらう。

丸井グループ
30年までに排出量を16年度比4割、50年に8割減らす。全店舗の電力を再生エネ由来に替える。テナントの外食店に生ごみのリサイクルを促し、焼却に伴う排出を減らす取り組みもしている。

ホンダ
脱エンジン。40年に販売する車は、電気自動車か燃料電池車にする。

このように国内でも、経営目標にカーボンニュートラルを加える動きが加速しています。

参考:2050年カーボンニュートラルを巡る国内外の動き 令和2年12月

資源エネルギー庁

なお、アップルをはじめとする欧米企業は積極的に取り組みを進めています。欧米企業の積極策の理由は、投資家や消費者からの圧力です。最近では、日本の投資家も変わりつつあります。環境問題に適応していかないと、企業は資金調達などで不利になりかねません。株主総会で議案に反対される可能性も出てきます。

ただし、依然として日本企業に共通の障害は、化石燃料への依存度が7割を超える国全体の電源構成です。一部の企業の努力だけでは、カーボンニュートラルは実現しません。やはり、日本全体として、クリーンエネルギーへの投資を行い、技術革新・再エネ普及を行っていく必要があります。

2050年に世界がカーボンニュートラル実現に動いていることは揺るがない事実です。いずれにしても、早め早めに環境への取り組みを進めることが、10年後、20年後良い結果をもたらすのではないでしょうか。

参考:カーボンニュートラルに向けた産業政策“グリーン成長戦略”とは?|スペシャルコンテンツ

資源エネルギー庁

まとめ

・カーボンニュートラル実現への道のりは険しい

・クリーンエネルギーに対しての投資が増え、その結果、雇用機会も増える

・日本国内大手企業は、経営目標にカーボンニュートラルを入れ始めた

・化石燃料に頼っている日本は、今よりさらに再エネの技術を高め、普及させる必要がある

非常に高い目標を掲げているカーボンニュートラルです。ですが、今取り組まないと地球の温度はどんどん上昇して、取り返しのつかないことになります。私たちが住む地球を守るためにも、環境問題を無視することはできないでしょう。

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