経済産業省 カーボンニュートラル実現に向け、再エネ価値取引市場を創設へ。

はじめに

日々動きがある再エネ。経済産業省は、再生可能エネルギーを調達しやすくするために、新たに専用の取引市場をつくると発表しました。カーボンニュートラル実現に向けて、再エネのニーズが高まる中、市場の活性化に期待が高まっています。

そこで今回は、再エネ取引市場の新設に絡めて、これまでの環境価値市場や、今後の課題等についてご紹介します。

参考:再エネ取引の新市場 試験運用へ

2020/5/31(月) Yahoo!ニュース

海外と日本の違い(現在)

日本の一歩先を行く海外の再エネ。一体どんな違いがあるのでしょうか。その特徴を簡単にまとめてみました。

環境価値へのアクセス

海外

  • 電気事業者だけでなく、需要家も直接購入することが可能

日本

  • 小売電気事業者のみが購入可能
  • 需要家への環境価値は、小売電気事業者が調達した電気に、環境価値である非化石証書を組み合わせることで実現

価格

海外

  • 発電源証明としては、0.1~0.2円/kWhで推移。

日本

  • 非化石証書は、1.1~1.3円/kWhで推移。

上記を見れば、お分かりになるかと思いますが、なんと海外の環境価値は、日本の10分の1程度の価格で手に入ります。ずいぶん安いですね。

これだけが理由とは言えませんが、一つの要因として、電力会社を通して購入することが挙げられます。したがって、非化石証書を需要家が直接購入できれば、より効率的に再エネ価値を調達でき、コスト低減につながるのではないかという声が高まっているのです。

(非化石証書に比べると流通量が少ないですが、J-クレジットは現在も需要家が直接購入できます)

また、証書の発行量を見ても、一目瞭然です。いかに日本が再エネに遅れをとっているかがわかると思います。

参考:非化石価値取引市場について

令和3年3月1日 資源エネルギー庁

新たにできる再エネ取引市場とは

そんな中、経済産業省は再エネ取引市場を新設すると発表しました。再エネで発電したことの「証明書」を公的機関が発行するというものです。大きな違いは、これまで、小売電気事業者しか購入できなかった証書を、新たな再エネ取引市場では、需要家が直接購入できるようになるところです。また、どこで発電された再エネなのかを明記する仕組みも整備されます。これらによって市場のさらなる活性化を促す狙いです。

改めてになるかもしれませんが、私たちが普段使用している電気は、原子力で発電された電気や火力で発電された電気が、混ざっています。性質上、ここからここまでは原子力、ここからここまでは太陽光、等と切り分けることはできないのです。

したがって、自分で発電して、自分で使う自家消費を除いては、ビルや工場、家庭に届く電気の種類を選ぶことはできません。

そこで証書の出番です。例えば、1,000kWh発電するA太陽光発電所があったとします。需要家がA太陽光発電所で発電された1,000kWh分の証書を購入すれば、自身が使っている電気は、環境価値を保有することになります。

もちろん先ほどお伝えした通り、電気自体は、どの発電方法によって発電されたかは分かりません。ですが、A太陽光発電所で発電された1,000kWhの電気自体は、どこかの誰かが使っています。つまり、1,000kWh分を太陽光発電したという事実はありますよね。その分を証書という手段を使って、環境価値を証明するのです。

再エネで発電した電気をすべて、自分のところに届ける方法があればいいのですが、そうはいきません。したがって、証書を使い、再エネを使っているとみなしています。

繰り返しになりますが、今回の再エネ市場の新設では、これまで以上に取引の活性化を目指しています。再エネの電気=料金が高い というイメージを払拭するために、需要家の直接購入などにより、価格が抑えられることに期待したいものです。

なお、証書の売却収入は、再エネ買取費用の一部になります。証書の購入をすることは、再エネ普及の一助にもなっているのです。

発電そのものを増やさないと根本的な解決にはならない

ここまで市場の新設によって期待できることをお伝えしてきました。ですが、それだけはやはり不十分です。

そもそも現在の日本の再エネ比率は20%弱です。つまり証書が安くなろうとも、全体の発電量を増やさない限り、需要が供給を上回る状態が生まれてしまいます。昨年12月に発表された2050年の再エネ比率見込みは50~60%です。いかに再エネ比率が低いかが分かるでしょう。

参考:再生エネ5~6割、原発にも含み 2050年電源構成案

2020/12/21 朝日新聞デジタル

とはいえ日本は、国土面積が狭い、台風や地震等の自然災害が多い、といった地理的なハンデを背負っているため、今後も苦戦を強いられそうです。

カーボンニュートラル実現に向けては、官民一体となり、投資を行い、技術を高めていくことが必要不可欠と言えそうです。ソニーグループやスズキ等、18社は、DXや脱炭素ファンドに1000億円規模の投資に乗り出すとも言われています。

今後の再エネ動向にますます注目が集まります。

まとめ

今回は、再エネ取引市場の新設に絡めて、これまでの環境価値市場や、今後の課題等について触れてきました。

・現時点で海外と日本の証書価格には10倍近くの差がある

・再エネ市場の新設により、証書の値段が下がることが期待できる

・とはいえ発電量そのものを増やさない限り、根本的な問題解決にはならない

未来の子供たちの地球を守るためにも、今が踏ん張り時と言えそうです。

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