SBT(Science Based Targets)とは?RE100との違いについて徹底解説!

はじめに

7月15日、セコムグループが「SBT」認定を取得し、さらに「RE100」にも加盟したと発表しました。※1
「RE100」は、以前も解説した通り自然エネルギー100%を推進する国際イニシアティブです。

関連記事:RE100とは?取り組みの意義と今後の展開について解説

今回は、同様に国際イニシアティブである「SBT」について、RE100とどのような違いがあるのか、認定を受けている各企業の取組について解説していきます。

「SBT」とは?

「SBT」の概要

「SBT」とは、「Science Based Targets」の頭文字を取ったもので、パリ協定が求める水準と整合した、温室効果ガス排出削減目標のことです。
パリ協定では、世界の気温上昇を産業革命前より2℃を十分に下回る水準(Well Below 2℃:WB2℃)に抑え、また1.5℃に抑えることを目標としています。※2
SBTでは、5年~15年先を目標年として企業がこの温度目標を設定をします。

出典:環境省「SBT(Science Based Targets)について」より

SBTのイメージとしては上図の様な形で、企業ごとに基準年を設定し、
目標年までに気温上昇を抑えるような取組を行います。
基準年からの上昇温度2℃を目指すのは必須で、可能なら1.5℃を目指すことを推奨しております。

「RE100」との違い

RE100との大きな違いとして、排出量の削減対象があります。
RE100は自然エネルギーを導入することが目標ですが、SBTでは企業バリューチェーン全体での排出量を削減することを目標としています。

出典:環境省「グリーン・バリューチェーンプラットフォーム」より 
※①~⑮はScope3のカテゴリ

上図は、製品の製造・消費までの流れを示しております。
企業バリューチェーン全体での排出量は、Scope1,2,3での排出量を足し合わせたもので、
Scope1,2,3はそれぞれ以下の領域を指します。

Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)


RE100では自社で自然エネルギーを導入すること(=Scope1,2での温室効果ガス排出削減)を求めますが、
SBTではこれだけでなく、自社で開発した製品を使用する際に排出される温室効果ガスの削減(=Scope3での温室効果ガス排出)にも取り組む必要があります。

「SBT」の認定を受けるメリット

SBTとしての目標を設定し、その認定を受けることには多くのメリットがあります。
RE100と同様、社会的なイメージや投資家からの評価が上がるのはもちろんですが、ここではRE100参加とは異なる点を2つ紹介します。

1.CDPでの評価が上がる

CDPの環境情報開示における「CDP質問書」には、SBTに関する質問があり、
SBTの認定を受けることにより得点を獲得することができます。
事実、2019年CDPからの評価でA(最高評価)を獲得した日本企業38社のうち、27社がSBT認定を受けており、4社が2年以内に認定を受けることを認められています。※3

2.投資家だけでなく、消費者へアピールができる

RE100とは異なり、SBTでは事業領域全体で温室効果ガスの排出削減を目指す必要があることは説明しました。
これにより、自社の製品のアピールに繋がり、社会的なイメージ向上や、シェアの拡大に大きく貢献します。
特に近い将来、炭素税の導入がされるとCO2を排出するような製品を使わないことがそのままコスト削減に繋がるので、
そのような取組は今後ニーズがさらに高まってくる可能性は大いにあります。

関連記事:炭素税とは?今後の動きについて徹底解説!

中小企業が取り組める「SBT」

RE100は参加のための規模的な基準がありました。
SBTにもそのような基準はあるのでしょうか。

結論から言うとございません
SBTにはRE100と違い、認知度・信頼度が高くなければいけない、消費電力が100GWh以上といった条件がなく、どんな企業でも認定を受けることができます。

とはいえ、中小企業にとってサプライチェーン全体での温室効果ガス排出量を測定することは困難である場合が多く、その他にも多くの問題が付きまといます。
そのような企業に向け、SBT事務局では通常のSBTとは別に「中小企業向けSBT」を設定しています。

これは、SBTの内容を中小企業でも認定が受けやすいようにしたもので、
2020年4月から承認までのルートが改訂されました。
申請してから認定を受けるまでのプロセスが簡易的であったり、Scope3での温室効果ガス排出量を算定しなくてよい等少ないリソースで認定を受けることができます。
日本でも13社の中小企業がこの認定を取得しています。※3

日本企業の取組

2021年3月時点で、93社の日本企業がSBTの認定を受けています。
ここでは、その企業がどのような取組を行っているのか、いくつか紹介していきます。

【アサヒグループHD】

2021年2月、CO2排出量削減目標を従来の2030年までに30%削減を50%削減に上方修正し、SBT認定を取得しました。※4
実際の取組としては、製品製造に係る電力に証書を活用するだけでなく、省エネ自販機を展開したり、環境配慮の容器を開発するなど掲げています。※5

【SHARPグループ】

2019年5月、ベトナムに太陽光発電所を建設、
同年7月にはフィリピンの工場の屋根に太陽光発電パネルを設置しました。
また、製品についてもそのライフサイクルの中での環境負荷を把握すると共に、省エネ性能の向上により環境負荷を低減しています。※6

【花王】

2019年7月に、SBT認定を取得したと発表しました。
国内外の工場への太陽光発電パネルの設置や、包装容器の再生資源化を推し進め、温室効果ガス排出削減を目指します。
2021年3月には、日本で初めて100%再生プラスチックを採用したボトルを導入しました。※7

このように、どの会社も自社で再生可能エネルギーを導入するだけでなく、
製品が消費者に渡るまで~渡った後も温室効果ガスが排出されないような取組を行っています。

まとめ

2021年3月時点で、国別にSBT認定を取得している企業はアメリカ119社が最も多く、日本は次いで2番目に多い国です。
それだけ日本は世界の環境問題を率先して解決しようという気概が強いといえます。

今後もこのリーダーシップを維持できる様、より多くの企業がこういったイニシアティブに参加し、脱炭素に対する意識を持つことが今後求められてきます。

弊社ホールエナジーでは、このようなイニシアティブに対応したメニューを提供することが可能です。
お客様のご要望ごとに柔軟に対応することもできますので、まずはお気軽にお問合せください。

参考記事

※1:セコムグループが「SBT」認定を取得し、「RE100」に加盟 2021年7月16日 EnergyShift

※2:今さら聞けない「パリ協定」 ~何が決まったのか?私たちは何をすべきか?~  2017年8月17日 経済産業省

※4 アサヒグループ、2030年CO2排出量削減目標を上方修正、SBTイニシアチブによる「1.5度目標」 2021年2月10日 アサヒグループHD株式会社

※5:カーボンゼロに向けた取組みの概要 アサヒグループHD株式会社

※6:気候変動 シャープ株式会社

※7:「アタック ZERO」で100%再生プラスチックのボトルを採用 2021年3月17日 プレスリリース

参考資料

※3:SBT(Science Based Targets)について 2021年3月19日 環境省・みずほ情報総研