世界で注目が集まっている「ボランタリークレジット」とは?

はじめに

現在、企業としてCO2の排出量を軽減しようと考えた際、
非化石証書やJクレジットといった証書と電源を組み合わせたり、証書を直接購入する場合が多いと思います。
国内で活用されている主な証書は「非化石証書」「Jクレジット」「グリーン電力証書」の3種類があります。

ですが、これ以外にも海外で活用されているクレジットは多く存在します。※1
今回はその中からいくつかをピックアップして紹介していきます。

ボランタリークレジット

今回紹介するのは、「ボランタリークレジット」と呼ばれるクレジットです。
一般的な非化石証書やJクレジットは政府が主導しているのに対し、ボランタリークレジットはNGOや民間が主導になっています。

これにより、ボランタリークレジットは法的拘束力がないため、自由が効きやすいというメリットがあります。

また、規定された創出方法が多岐に渡るため創出がしやすいというメリットもありましたが、
近年、クレジットの追加性という側面からその基準が見直されつつあるという背景があります。

それではここからは、実際に活用されているボランタリークレジットについて、
「Verified Carbon Standard(VCS)」と「Gold Standard」の2つを見ていこうと思います。

Verified Carbon Standard(VCS)

現在、世界で最も取引量が多いのは、Verified Carbon Standard(VSC)です。
VCSとは、温室効果ガス排出量を削減するプロジェクトにクレジットを発行するためのカーボンクレジットメカニズムです。※2

出典:みずほ情報総研株式会社 国内外におけるクレジット活用拡大動向について

VCSは国際的なカーボンオフセット基準管理団体米Verraによって開発・管理されており、世界中の様々なプロジェクトが認証を受けています。

最大の特徴はその創出方法で、現在認められているもので「エネルギー」「工業プロセス」「建設」「輸送」「廃棄物」
「工業」「農業」「森林」「草地」「湿地」「家畜」「家畜と糞尿」の11種類に加え、
独自の方法論での環境価値の創出が運営団体に提案ができるという点です。※3

認証を受けたプロジェクトにはVCS事務局からクレジットが発行され、発行されたクレジットはVCS Program Registryで管理されます。※4

VCSを活用してる企業をいくつか紹介していきます。

・Volkswagen

2050年までのカーボンニュートラル達成を公表しています。
残余排出量について、VCSで創出されたインドネシアの森林由来のクレジットを活用しています。

・Occidental Petroleum

石油の抽出や燃焼を含むライフサイクル全体から予想される温室効果ガス排出量をVCSでオフセットし、
「Carbon-Neutral Oil」として需要家に供給を開始しました。※1

Gold Standard(GS)

Gold Standard(GS)は、プロジェクトの「質」の高さに関する評価基準です。
持続可能な開発に貢献することを支援しており、買い手に対してはその「質」を保証しています。
そのため、プロジェクトのスコープ(事業領域)が限定されており、これが一方で普及がしきっていない要因になります。※5

GSの認証はGS事務局が認定した機関が行うのではないですが、クレジットの発行はGS事務局が行います。
また、GSにより発行されたクレジットはwebサイト等での管理はされておらず、現在レジストリを開発中とのことです。

実際に活用している企業は以下の通りです。

・東京放送(TBS)

2007年、GS認証を受けたニュージーランドの風力発電プロジェクトから生成されたクレジットを購入しました。
同社は2007年から放送センターでの電力をグリーン電力で賄い始めている他、SDGsの達成も支援しています。※6

・OKIグループ

ライフサイクルCO2排出量を2030年までに40%削減、2050年までには2050年度80%削減(どちらも2013年度比)を目指しています。
2009年、ケニヤにおける高効率調理かまどプロジェクトから生成され、GS認証を受けたクレジットを購入しました。

まとめ

昨年の菅首相からのカーボンニュートラルの声明があり、企業の脱炭素への対応は急を要する状態です。
その上、炭素税の導入を考えると、多少コストをかけてもこのようなクレジットを導入することが結果的にコスト削減に繋がる時代は遠くないのかもしれまん。

これらのクレジットは、非化石証書等と異なり小売電気事業者でなくても購入が可能です。
ですが、購入するクレジットが、たとえばRE100やGRESB等に対応しているのかという部分はしっかりと見極める必要があります。

弊社ホールエナジーでは、こういったクレジットの導入も含め、中長期的なサポートを行っております。
お客様の状況に合わせて最適な再エネの導入を支援することもできますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

参考資料

※1:国内外におけるクレジット活用拡大動向について みずほ情報総研株式会社 2021年3月23日

※2:VERIFIED CARBON STANDARD – VCS PROJECT VALIDATION AND VERIFICATION Control Union

※3:VCSとは?メリットやその他のクレジット制度との比較、企業事例について説明 NET ZERO NOW 2021年7月7日

※4:Verra Registry Verra

※5:VER(Verified Emission Reduction)認証機関・方法の概要 環境省

※6:サステナビリティ TBSホールディングス