RE100とは?加入条件や日本企業の加入メリットを分かりやすく解説

2023.11.07
ESGSDGsカーボンニュートラル再エネ調達

 

企業が気候変動や環境保全に取り組むことの重要性は年々高まっています。

その中でも、脱炭素社会に向けたクリーンエネルギーの推進は国をあげて行われています。今回は、環境省も推進に力を注いでいる「RE100」について、概要やメリットを分かりやすく解説します。

  カーボンニュートラルへ向けた、

企業が取るべき具体的アクションとは?

RE100とは

RE100(Renewable Energy 100%)とは、「事業活動で使うエネルギーを100%再生可能エネルギー(以下、再エネ)でまかなうこと」を目標にした国際的な枠組みです。


環境問題を扱う国際的な非営利組織Climate Group(クライメートグループ)によって2014年にスタートし、現在は、世界中の企業へ気候変動への取り組みについて情報開示を求める環境NGO・CDPも運営に加わっています。

2023年11月現在、400社以上がRE100に参加しており、日本はアメリカに次いで2番目に多い84社が参加しています。
参加している業種は全体的にみると金融業が多いですが、日本企業は建設業、電気機器、小売業が多い傾向です。

RE100が設立された背景

2015年パリで開催されたCOP21(国際気候変動枠組条約第21回締結国会議)では、世界約200カ国によって長期的な脱炭素に向けた取り組みが同意されました。
このパリ協定を実現させるため、脱炭素化を達成する具体的な指針としてRE100は設立されました。

RE100が目指すものは、脱炭素社会への循環を生み出すことです。
太陽光や風力など自然由来の力を使う再エネを普及させるためには、企業など電気を使う側(=需要側)から電力会社や政府に働きかけ、開発や法整備を進める必要性があります。
商業・産業分野が使用している大量の電力を再エネに変換し、気候変動による地球温暖化を食い止めるためRE100は生まれました。

RE100の加入条件

RE100は、どんな企業でも参加できるわけではありません。以下3つの要件を満たしている企業のみ参加することができます。

  • 消費電力量が年間100GWh以上(日本企業は50GWh以上)であること
  • 自社事業で使用する電力の100%再エネ化に向け、期限を設けた目標を設定し公表すること
  • グループ全体で参加すること(親会社から見て支配率50%以上の子会社すべてが参加すること)

運営側が想定している企業は、グローバル企業もしくはその国で知名度・信頼度が高い大企業です。
知名度の高い企業がRE100に参加することで、電力会社や政府、さらには世論に影響を与えることを期待しているからです。
RE100に参加する企業は、毎年Climate Groupへ進捗報告を行う必要があり、「遅くとも2050年には電力の100%再生可能エネルギー化を達成させること」を目標にするよう定められています。

なお、RE100には参加対象外の業種があります。
それは、化石燃料の推進企業や再エネ普及の妨害となる企業、人権侵害や犯罪行為などRE100のミッションや信頼性を脅かす業種です。
具体的には、航空・軍事品・ギャンブル・タバコ産業にのみ属する企業などです。

RE100と認められる電力の調達方法

RE100では、以下の電源に由来する電力を再エネとして定義しています。

・太陽光発電および太陽熱発電
・風力発電
・水力発電(大型水力を含む)
・バイオマス発電(バイオガス発電を含む)
・地熱発電

そして、電力の調達方法も厳密に決められており、以下3種類のみ認められています。

・専用線で接続された再エネ電源からの直接調達(略称:専用線)
・電力系統(送配電網)を介した再エネ電力メニューの購入(略称:メニュー)
・再エネ電力証書の購入(略称:証書)

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日本企業の取り組み事例とRE100に加入するメリット

日本企業がRE100に加盟する際の窓口となっているJCLP(日本気候リーダーズ・パートナー)が公表しているデータによると、2023年11月現在84社の日本企業がRE100に参加しています。

2017年に日本企業として初めて参加したOA機器メーカーのリコーは、2030年度に再エネ利用率を50%とする目標を掲げています。
和歌山や北海道の事業所でZEB認証(省エネと創エネにより建物で消費する一次エネルギーの収支を0にする建物)を取得しており、中国やイギリスなどグルーバル生産拠点での電力を100%再エネ化することを進めています。

2018年に日本の金融機関で初めて参加した城南信用金庫は、2019年から本店・支店など自社物件の電力全てをバイオマス発電に切り替えました。
これは事業活動で使う電力の98%にあたります。
残り2%の電力(賃貸物件等)についても、国が運営するJクレジットを購入しCO2をオフセットすることで、実質100%再エネ化を実現しています。

ESG投資を呼び込める

RE100に参加することで得られる最大のメリットは、ESG投資を呼び込めることです。
財務状況や企業の将来性に加え、環境・社会・ガバナンス要素を考慮したESG投資は年々増加しており、中長期的に世界中から投資を得られるチャンスがあります。

RE100に参加することで、「環境に配慮した持続可能な経営をしている」と世界中の投資家にアピールできます。
日本企業がグローバルで活躍するためには、海外からの資金調達が不可欠ですので、国際的信頼度が高いRE100に参加することは、企業価値を高め国際社会での評価を上げることにつながります。

化石燃料の高騰リスクを減らせる

地下資源の乏しい日本は、石油・石炭・LNG(液化天然ガス)などの化石燃料のほぼ100%を輸入に頼っていますが、産出国の事情や紛争、政治的な対立などにより供給量を減らされた場合、燃料の高騰やエネルギー不足に陥る可能性があります。
近年は地政学リスクの高まりもあり、化石燃料依存からの脱却は日本が取り組むべき喫緊の課題です。

化石燃料が高騰すれば、事業の支出が増え経営を圧迫します。
地産地消が基本となる再エネ化を進めることは、化石燃料の高騰リスクを減らし電力を安定確保することにつながります。
また、大企業が再エネ獲得に動くことで市場が活性化し、技術革新や電力システムの構築が進み、再エネ普及を後押しすることができるのです。

中小企業でも加入可能な「再エネ100宣言RE Action」

RE100には参加できないが、再エネ100%化に賛同する企業や団体が参加できる日本独自の枠組みとして、2019年に「再エネ100宣言RE Action(以下、RE Action)」が設立されました。
RE Actionは国内5団体で構成される協議会により運営されています。

RE Actionの参加要件は以下の3つです。

  • 遅くとも2050年までに使用電力を100%再エネに転換する目標を設定し公表すること
  • 再エネ推進に関する政策エンゲージメントを実施すること
  • 使用電力量、再エネ率などの進捗を毎年報告すること

この条件を満たす企業や自治体、医療機関や教育機関など様々な団体が参加できる枠組みです。

まとめ

RE100は、大企業の脱炭素化を実現させるために生まれた国際的な枠組みです。
商業・産業分野で大量に使われている電力を再エネ転換することは、温暖化対策につながる大きな挑戦です。
また日本では、中小企業もRE100と類似した取り組みに参加できる枠組みが生まれています。

弊社、ホールエナジーでは、電力と再エネに特化したコンサルティング会社として、再エネの導入やカーボンニュートラル実現のサポートを得意としています。電力の再エネ化をはじめ、非化石証書購入代行やコーポレートPPAのアレンジなど、お客様のご状況に応じて対応させていただきます。
再エネ化でお悩みのことがあれば、お気軽にお問い合わせください。
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参考資料

環境省 RE100について
環境省 気候変動時代に公的機関ができること~「再エネ100%」への挑戦
JCLP RE100・EP100・EV100 国際企業イニシアチブについて