新設される再エネ価値取引市場の活用方法とは?

2021.09.01
ESGカーボンニュートラル再エネ調達環境価値電力卸売市場電力業界制度

はじめに

カーボンニュートラル実現に向け、再エネへの関心は日に日に高まっています。

一般消費を対象にしたアンケートによると、「環境への配慮の観点から、再生可能エネルギーやCO2フリー等の電力メニューで電気を買うことに興味はありますか。」という質問に対し、全体の約2割が「そうしたメニューの電気を買っている」「そうしたメニューの電気を買うことを検討中」と回答したそうです。

特に男女ともに20~30歳の若年層は関心が高いというデータになっています。

本記事の執筆者も、最近自宅の電気を「再エネ由来のCO2フリープラン」に変更しました。
今後も個人だけでなく、法人のお客様も益々関心が高まっていきそうです。

そこで本日は、秋ごろに新設される予定の「再エネ価値取引市場」について、記事を書いていきます。
再エネ価値取引市場については、今年の6月に弊社ブログでも記事を書きましたが、そこから少しアップデートした内容も含め、お届けしていきます。

従来の環境価値取引市場について

これまでも環境価値を取引する場所はありました。
正式名称は「非化石価値取引市場」です。

そもそも電気には次のような特徴があります。

  • 火力等によって作られた電気=電気そのものの価値
  • 再エネによって作られた電気=電気そのものの価値環境価値

非化石価値取引市場で取引されている非化石証書は、
再エネ電源によって作られた電気の環境価値を切りとり、環境価値を証明するものです。

A太陽光発電所で1000kWh発電された電気が存在した場合、1000kWh分を証書化します。
そのうえで、1000kWh分の証書を小売電気事業者が購入すると、その1000kWh分については、再エネ電源を使っているとみなされる。というものです。

この考え方はやや難しいので、補足をします。
電気の特性上、家やオフィスに流れてくる電気は、いろんな電源で作られた電気が混ざっています。
したがって、純粋に100%の再エネを使うには、基本的には、自家消費をするしかないのです。

家やオフィスでは、消費する電力量分の環境価値を別途取得することで再エネを実現しているケースがほとんどです。

ただし、ここがポイントなのですが、現状のシステムでは、需要家が環境価値を直接購入することはできません。
今は、小売電気事業者のみ購入することが可能となっています。

元々、非化石価値取引市場は、小売電気事業者が、供給する再エネの割合を増やすという目的のために作られました。
当時は、需要家が再エネによって作られた電気を使いたいというケースは稀だったいう背景もあります。

しかし、今は違います。
カーボンニュートラル、ESG、SDGs等もあり、需要家が再エネ価値を求めるようになりました。
そして、その傾向がどんどん強まっています。

そのような事情から、今回、再エネ価値市場が見直しされることになることになりました。

新設される再エネ価値取引市場に期待されること

やはり一番期待されることは、需要家が直接購入できるようになるという点ではないでしょうか。

これまで非化石価値証書は、小売電気事業者から電気と証書をセットで購入することしかできませんでした。
今後、新設される再エネ価値取引市場に需要家が直接参加できるようになると、安価に再エネ価値を購入できるようになることが期待されます。

一方で、まだまだ課題もあります。

再エネ価値取引市場に参加するにあたっては、取引会員資格の取得や年会費の支払い、取引ごとの手数料支払いなど、一定のコストが生じます。結果として、需要家が必要な量を安価な価格で調達できないリスクもあり、実際には、取引に参加する需要家は限られるのではないかと言われています。

現状、この問題はクリアになっておらず、
証書購入を望む需要家との間を仲介する事業者の市場参加を認めるなどの方向性も検討されています。

上記の図にもありますが、需要家の直接購入による利点は、主に安価な調達です。
しかし、欠点があるのも事実であり、現状では、課題が多いとも言えます。

どのような選択を取るのがよいか

再エネ価値取引市場が出来たとしても、
現時点では、小売電気事業者からの電力メニューとして、証書を取得するのがよいのではないでしょうか。

これまでも小売電気事業者は、非化石証書等を購入してきた実績があり、ノウハウがあります。
したがって、需要家が1から知識をつけて、再エネ価値を購入するのは、人件費等、目に見える以外のコストもかかると言えます。

今回、再エネ価値取引市場が出来ることで、再エネ価値の取引量が増えることが予想されます。
それはつまり、需要家だけではなく、小売電気事業者も安価に再エネ価値を購入することが出来るようになるのです。

弊社ホールエナジーでは、小売電気事業者からの再エネメニューのアレンジもお手伝いさせて頂いております。
これまでも非化石証書等を組み合わせた再エネメニューをお客様にご提案してきました。
小売電気事業者との強いネットワーク活かし、お客様のニーズに合わせた再エネ調達を行っております。

まとめ

今回は、秋ごろ新設される再エネ価値取引市場についてお話してきました。
これにより、再エネ価値を享受するための選択肢は増えていきます。
しかし、まだまだ課題も多いです。
自分たちの課題感と照らし合わせ、導入していくことが大切と言えそうですね。

どんどん変化する再エネの波に乗り遅れないように、今から少しずつ再エネを勉強してみませんか?

弊社では、再エネ導入の実現に向けて、お客様に最適な電力会社のご提案から、
契約切替手続きのサポートまで、お手伝いさせて頂きます。

ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

参考サイト

非化石価値取引市場について (これまでの市場) 資源エネルギー庁
経済産業省 カーボンニュートラル実現に向け、再エネ価値取引市場を創設へ。 ホールエナジー