PPAモデルとは?メリット・デメリットや向いている企業の特徴も

2024.04.15
ESGカーボンニュートラルコーポレートPPA再エネ調達太陽光発電

2015年に採択されたパリ協定の影響もあり、世界各国は脱炭素社会への取り組みを加速させています。日本も2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを掲げており、再生可能エネルギーの導入拡大が不可欠です。

そのような中で、PPAモデルは、企業などが初期投資なしで太陽光発電システムを導入できるため、再生可能エネルギーの導入を促進する有効な手段として期待されています。当記事では、PPAモデルについて分かりやすく解説します。

  カーボンニュートラルへ向けた、

企業が取るべき具体的アクションとは?

PPAモデルとは?基本的な仕組み・種類を解説

PPAモデルとは、再生可能エネルギーの導入を促進するために考案された、電力購入方法です。Power Purchase Agreement(電力購入契約/電力販売契約)を通じて、電力を必要とするユーザー(企業や個人)と発電事業者が直接契約を結びます。

具体的には、ユーザーは初期費用ゼロで太陽光発電などの再生可能エネルギー設備を設置してもらえ、メンテナンスサービスも提供されます。利用者は使用した電力に応じて料金を支払うことになり、契約期間終了後には設備を譲り受けることも可能です。

PPAモデルは、特に自前での設備投資が難しい個人や企業にとって、環境に優しい電力を手軽に導入する手段となります。

オンサイトPPA

オンサイトPPA(On-Site Power Purchase Agreement)は、電力の需要家が自らの敷地内に再生可能エネルギー発電設備、特に太陽光発電設備を設置する契約モデルです。オンサイトPPAでは、企業や施設の所有する土地や建物の屋根などにPPA事業者が発電設備を設置し、設置した場所で直接電力を供給します。

オンサイトPPAの大きな利点は、初期投資費用や維持管理費用をPPA事業者が負担するため、需要家は設備導入に際しての高額な費用を心配する必要がないことです。加えて、使用した電力量に応じた料金を支払うだけで、クリーンエネルギーの利用を実現できるため、環境価値の向上とコスト削減の両方を達成できます。

契約期間が終了した後には、発電設備が需要家に譲渡されるため、長期的に見ればさらに経済的なメリットがあります。日本では、特に屋上の広い工場や大型商業施設などでの導入が増えており、再生可能エネルギーの普及に貢献しているモデルです。

オフサイトPPA

オフサイトPPA(Off-Site Power Purchase Agreement)は、需要家の敷地外に設置された再生可能エネルギー源から電力を供給する契約モデルです。オフサイトPPAでは、太陽光発電設備などの再生可能エネルギー発電所が、一般の電力系統を介して電力を需要家に供給します。自社敷地内に発電設備を設置できない企業や、自社の再生可能エネルギー設備だけでは需給を満たせない場合に特に有効です。

オフサイトPPAには「フィジカルPPA」と「バーチャルPPA」の2つの主要な形態があります。フィジカルPPAでは、需要家は発電事業者と直接電力の売買契約を結び、同時に電力会社と電力の送配供給に関する契約を行い、実際の電力とその環境価値を受け取ります。一方、バーチャルPPAでは、需要家と発電事業者は電力価格に関する契約を結び、市場価格との差額を精算しますが、電力自体は通常の電力会社から購入し、環境価値のみが移転されます。

PPAモデルと他の太陽光発電を導入する方法の違い

続いて、PPAモデルと比較して、自己所有やリースによる太陽光発電システムの導入がどのように異なるのかについて解説します。各モデルの特徴、メリット・デメリットを理解しましょう。

自己所有による太陽光発電システムの導入

自己所有による太陽光発電システムの導入は、個人や企業が太陽光発電設備を直接購入し、自らの敷地内に設置、運用する方法です。このモデルの最大の魅力は、長期的に見れば高い投資回収率を見込みやすいことにあります。設備が自己所有であるため、発電した電力の自家消費や余剰電力の売電により、電気代の節約と収入の獲得が可能です。また、エネルギーの自立性が高まり、環境への貢献も期待できます。

一方で、自己所有する方法は多額の初期費用が必要であり、メンテナンスや修理にかかる費用も自己負担となるため、初期投資の回収には時間がかかります。加えて、設備の資産計上が必要であり、財務指標に影響を及ぼす可能性があります。

PPAモデルと比較すると、自己所有モデルは初期投資の負担が大きいものの、長期的にはより高い経済性が見込める点が異なります。一方、PPAモデルでは初期費用が不要であり、メンテナンスや修理の責任がPPA事業者にあるため、導入のハードルが低いです。ただし、PPAモデルでは電力の供給価格が契約によって固定され、余剰電力の売電収入を得ることが難しい場合があります。

リースによる太陽光発電システムの導入

リースによる太陽光発電システムの導入は、太陽光発電設備を事業者から一定期間借りることができる契約方式です。この方法の大きな特徴は、初期投資が不要であることです。利用者は月々の固定リース料を支払うことで、太陽光発電システムを使用し、発電した電力を自家消費したり、売電により収入を得たりできます。また、メンテナンスや修理はリース事業者が担当するため、利用者の手間が省けるのが特徴です。

一方で、以下のような点に注意が必要です。

・リースの場合は長期的な契約が必要であり、契約期間中はリース料の支払いが発生する
・発電量にかかわらずリース料が固定であるため、期間内に投資費用を回収することが難しい場合もある
・契約終了後には、設備が自己所有になることもあれば、撤去されることもある(契約内容による)

PPAモデルとリースモデルの類似点は、両方とも利用者が初期投資の費用を抑えて太陽光発電を利用できる点にあります。しかし、PPAモデルでは需要家の電力の使用量によって毎月の支払金額が異なる一方で、リースモデルでは毎月一定のリース料を需要家が事業者に支払う点が特徴です。

PPAモデルのメリット5つ

PPAモデルは、再生可能エネルギーの導入において企業や個人に多くの利点があります。以下では、PPAモデルがもたらす主要な5つのメリットを紹介するので、ぜひ参考にしてください。

初期費用を抑えて太陽光発電システムを導入できる

PPAは、太陽光発電設備の所有者とユーザー間で結ばれる契約で、ユーザーは設置・メンテナンス費用を負担することなく、太陽光発電により生成される電力を購入できます。中小企業や個人でも、再生可能エネルギーの導入決断がしやすいでしょう。

また、PPAモデルでは太陽光発電設備が資産として計上されないため、貸借対照表にも大きな影響を与えません。

太陽光発電システムのメンテナンスを任せられる

太陽光発電システムは、高い効率性と持続的な性能を維持するために、定期的なメンテナンスや突発的な修理が必要です。自己所有のモデルでは、これらのメンテナンス作業は所有者の責任です。専門的な知識が必要な場合もあるほか、予期せぬ修理が必要になった際の費用はすべて所有者が負担しなければなりません。しかし、PPAモデルでは、これらのメンテナンス作業や修理費用の負担はすべてPPA事業者が担当します

これにより、利用者はメンテナンスの手間やコストを気にすることなく、太陽光発電システムの運用を続けられるでしょう。また、専門家による適切な管理とメンテナンスが行われることで、システムの長期的な性能維持が保証され、最終的にはより高いエネルギー収益を期待できるという利点もあります。

温室効果ガスの排出削減に貢献できる

再生可能エネルギー源からの電力購入を通じて、企業や個人は化石燃料の消費を減らし、地球温暖化の主要因である温室効果ガスの排出量を削減することが可能になります。この取り組みは、特に環境に配慮した企業運営を目指す組織にとって、持続可能なビジネスモデルへの移行を実現する上でも重要です。

さらに、PPAモデルの導入はRE100への取り組みにもつながります。RE100とは、企業が使用する電力を100%再生可能エネルギーから調達することを目指す国際的なイニシアティブです。PPAモデルを利用することで、企業はRE100の目標達成に向けて、自らの環境負荷を軽減し、環境保護に対するコミットメントを社会に示すことが可能です。

電気代の変動リスクに対応できる

PPAモデルを採用することで、必要な電力の一部を固定価格で賄うことが可能となり、市場価格の変動によるコスト増加のリスクを軽減できます。

特に、再生可能エネルギーを用いた電力は、再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)が免除されるため、従来の電力供給と比較して割安になります。

再エネ賦課金とは、再生可能エネルギーによる電力の買取費用を賄うために、電気を使用するすべての消費者に課される費用のことです。太陽光や風力などの再生可能エネルギーを用いた発電を増やすことを目的としており、再生可能エネルギーによって生み出された電力を固定価格で買い取る制度の財源として活用されます。賦課金の額は、毎月の電力使用量に応じて消費者の電気料金に上乗せされ、経済産業大臣によって毎年度設定されています。

非常用電源として活用できる

PPA契約における太陽光発電システムは、通常の電力供給網が中断した場合でも、自立運転機能を持つものであれば、継続して電力を供給することが可能です。自然災害やその他の予期せぬ事態が発生した際にも、企業や施設はオペレーションや基本的な機能を継続できるようになります。

非常時における電力の自立供給能力は、ビジネスのリスク管理と継続性計画において極めて重要な要素です。PPAモデルを利用することで、外部電力供給が途絶えた状況でも、安定した電力供給が可能となり、事業の安全性と信頼性が向上します。さらに、このようなシステムはエネルギーの自己供給能力を高めることにもつながり、組織のエネルギー独立性を強化します。

また、再生可能エネルギーを利用した非常用電源の確保は、企業が社会的責任を果たし、環境に優しい経営を行う姿勢を示すことにもなるでしょう。

PPAモデルのデメリット3つ

PPAモデルは、再生可能エネルギーの導入に際して多くの利点がありますが、一方で慎重に考慮すべきいくつかのデメリットも存在します。以下では、PPAモデルの導入がもたらす可能性のある3つのデメリットについて掘り下げます。

長期的な契約が必要になる

PPA契約は通常、10年から20年といった長期間にわたります。契約期間中に事業の方針変更や施設の移転、建物のリフォームなどが必要になった場合、太陽光発電システムの移設や一時的な撤去は基本的に難しいです。このような変更を行うには契約の解除や違約金の支払いが必要になることもあります。

さらに、長期契約を結ぶということは、PPA事業者の経営状態やサービス品質に長期にわたって依存することを意味します。将来的に、よりコスト効率の良い発電技術が登場した場合でも、既存の契約からの移行が難しいため、技術的な進歩に対する適応性が低下する可能性があります。

契約を断られる可能性がある

PPAモデルを利用して太陽光発電システムを導入しようとする際、いくつかの条件によっては契約を断られる可能性があります。これはPPA事業者が提供するサービスの性質上、事業者が定める特定の基準を満たす必要があるためです。

まず、需要家の財務状態が重要な審査ポイントです。契約期間中に発生するかもしれない倒産や事業の閉鎖リスクを避けるため、財務の健全性が確認されます。加えて、電力の現在の使用状況や料金プランも評価の対象となります。

また、太陽光発電システムを設置する場所の地理的条件、気象条件などが契約の可否を左右する場合もあります。例えば、積雪・塩害・強風など特別な対策が必要なケース、適切な設置場所を確保できないケースなどでは、PPA事業者が利益を見込めないため契約を断ることがあるでしょう。設置容量が少なすぎる場合や、設置・メンテナンスに過度の負担が予想される場合も同様です。

電力会社の電気代よりも高くなる可能性がある

PPA契約では、通常10年から20年の長期間にわたり、固定の料金単価で太陽光発電からの電力を購入します。

この固定料金は、契約時に合意された価格に基づくため、将来的に電力市場の価格変動が生じる場合があります。特に電力会社が電気料金を引き下げた際には、PPAで購入する電力の料金が市場価格よりも高くなるリスクが存在します。

PPAモデルによる太陽光発電システムの導入が向いている企業

PPAモデルによる太陽光発電システムの導入は、特定のニーズやビジネス環境を持つ企業にとって特に有益です。以下では、PPAモデルがどのような企業に適しているのか、その理由を具体的な特徴や状況に基づいて解説します。自社の状況を考慮した上でPPAモデルを導入するかどうかを検討する際の参考としてください。

脱炭素経営を目指している企業

脱炭素経営を目指している企業にとって、PPAモデルによる太陽光発電システムの導入は、その目標達成に向けた有効な戦略の1つです。

太陽光発電は、火力発電などの従来のエネルギー源と比較して、運用時の温室効果ガス排出量が極めて少ないため、企業のCO2排出量を削減し、環境保全に貢献できます。PPAモデルを活用することで、企業は初期投資やメンテナンスの負担なしに、安定した価格でクリーンエネルギーを調達し、電気代の削減と並行してCO2削減にも取り組めます。

また、このような取り組みは、企業が環境保全に積極的に貢献していることを示す指標の1つとなります。ステークホルダーからの信頼の獲得や、ブランド価値の向上につながるでしょう。

電気代の高騰リスクに対応したい企業

エネルギー市場の価格変動は、予測が難しいです。特に化石燃料に依存する電力供給体系では、国際的な情勢や資源の需給バランスの変化により、電気代が急激に上昇する可能性が常に存在します。

PPAモデルを利用することにより、企業は再生可能エネルギー源からの電力を固定価格で長期間にわたって購入でき、電気代の高騰リスクに対応することが可能になります。

初期費用の調達が難しい企業

PPAモデルでは、企業は初期費用0円で再生可能エネルギーを利用できます。特に資本力が限られている中小企業や、大規模な投資を控えている企業にとって、財務負担を増やすことなく環境に優しいエネルギー源を導入する機会となるでしょう。

また、PPAモデルでは初期投資が不要であるため、資金の回収期間に関するリスクも回避することが可能です。

保守管理の手間を軽減したい企業

太陽光発電設備は、効率的な運用を維持するために日常的な管理・定期的な点検が必要となりますが、これらは専門的な知識と時間を要する作業です。特に自社で設備を所有する場合、メンテナンスには専門の事業者との契約や、その業務を担う人材の確保が必要となり、経営資源の大きな負担となり得ます。

PPAモデルでは、設備の導入から運用、保守までをPPA事業者に委ねられるため、企業は本来の業務に集中することが可能になります。また、専門家による適切なメンテナンスが行われることで、設備の長期的な性能維持が期待できる点もメリットです。

まとめ

PPAモデルのメリットは、初期費用の削減、電気代の高騰リスクへの対応、保守管理の手間の軽減、環境への貢献、および非常用電源としての利用が可能、といった点です。資金調達が難しい企業や、電気代の安定性を求める企業、さらには脱炭素経営を目指す企業にとって大きな利点となるでしょう。

一方で、長期的な契約が必要であること、契約内容によっては電力会社の料金より高くなる可能性があることなどがデメリットとして挙げられます。このようなメリット・デメリットを比較して、自社に合った電力確保の方法を検討しましょう。

弊社、ホールエナジーでは、電力と再エネに特化したコンサルティング会社として、再エネの導入やカーボンニュートラル実現のサポートを得意としています。
電力の再エネ化をはじめ、非化石証書購入代行やコーポレートPPAのアレンジなど、お客様のご状況に応じて対応させていただきます。

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