電力オークションとは?特徴や仕組み・強み・一括見積との違いを解説

現在契約している電気会社のプランに不満を感じており、どうにか電気代を下げたい、または再生可能エネルギーの利用で環境に配慮したいという企業もあるでしょう。そういった場面で役立つのが「電力オークション」です。
2016年4月に始まった電力自由化に伴い、多くの企業が電力小売業界に参入してきました。電力オークションで自分の要望を満たす電力会社に出会えれば、今よりも満足のいくプランに乗り換えられます。
当記事では、電力オークションの特徴や仕組み、またメリットや注意点などについて解説します。
▶メールマガジンで再エネや電力に関するお役立ち情報を配信しています
1. 電力オークションとは?
電力オークションとは、電力会社を探している企業と、顧客を探している電力会社とが互いに最適な取引相手を見つけ出せるシステムです。「オークション」の名前がついている通り、企業側は応札する電力会社の入札価格をもとに取引相手を決定します。
1-1. 電力オークションの特徴と仕組み
電力オークションの特徴は、入札価格を競り上げる通常のオークションとは異なり、入札価格を競り下げるリバースオークションの方式を採用している点です。リバースオークションにおいては入札価格が低いほど、落札できる可能性は高くなります。
電力オークションは、企業が開示した自社施設の概要や過去の電気使用量などの情報を参考に、電力会社が独自の電気料金プランを入札する仕組みです。電力会社は顧客を獲得するために、競って安い電気料金プランを提案します。
電力オークションは、電気料金をできるだけ削減したい企業と大口の顧客を獲得したい電力会社の双方にとってメリットのあるシステムと言えるでしょう。
2. 電力オークションと一括見積りとの違い
電気料金の一括見積りは、電力会社を探す方法の1つです。一括見積りとは、複数の電力会社による電気料金の見積りをまとめて行う方法です。企業が自ら一括見積りを行うことはできるものの、一連の作業を代行サービス業者などに依頼するケースは少なくありません。
電力オークションと一括見積りは、複数の電力会社から見積りを出してもらう点では共通しています。しかし、一括見積りの過程では、各電力会社が他社の提示価格を確認できないなど、透明性にかける点は電力オークションと異なります。
電力オークションと一括見積りでは、比較できる電力会社の数も異なります。一般的に、一括見積りで比較できる電力会社の数は限られており、電力オークションのほうがより多くの電力会社を比較できる傾向があります。
3. 電力オークションのメリット・強み
電力オークションは、数ある小売電気事業者の中から自社に最適な電力契約を見つけることができるシステムです。電力オークションならではのメリットや強みもさまざまあります。ここでは、3つのメリットや強みを取り上げ、それぞれについて詳しく解説します。
3-1. 競争性が高い
競争性が高い点は、電力オークションが持つ大きなメリットです。電力オークションが採用している方式のリバースオークションでは、多様な小売電気事業者が新規の顧客を獲得するために最低価格で落札しようと競います。
電力オークションの実施期間、小売電気事業者の入札価格は公開されています。このため、電力会社は他社の入札価格を確認した後で、より安い入札価格で参加することも可能です。こうした競争原理が働く点は、電力オークション特有の強みです。
競争性が高いほど電気料金は安くなり、企業に有利な条件で契約締結を実現できるでしょう。
3-2. 複数の電力会社を比較できる
複数の電力会社を比較できる点も電力オークションのメリットです。選択肢は少ないよりも多いほうが、自社の要求に応じてくれる電力会社を見つけやすくなります。
2016年に電気の小売りが全面的に自由化されて以来、日本では小売電気事業に参入する電力会社が大幅に増え、電力市場は活気を帯びています。経済産業省資源エネルギー庁によると、2025年1月21日時点における登録事業者数は749社です。
(出典:経済産業省資源エネルギー庁「登録小売電気事業者一覧」/https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/summary/retailers_list/)
登録事業者数全体の1%が電力オークションに応札するだけでも、7社を比較できるという理論上の計算になります。さらに多くの電力会社が応札すれば、企業にとっては比較検討できる材料が増え、よりよい条件で契約できる可能性が高くなります。
3-3. 複数社とのやり取りが不要
電力オークションを利用すれば、複数の電力会社とやり取りする必要がなくなります。企業が独自に電力会社を探したり、一括見積りサービスなどを利用したりする際に生じる、各社への問い合わせや回答の受け取りなどが不要です。
電力オークションでは通常、専門の仲介サービス業者が基本的なやり取りを行います。このため、企業は仲介サービス業者1社とやり取りすることになり、電力会社を選ぶための作業や時間を削減できます。
電力オークションの仕組みを熟知した仲介サービス業者がサポートに当たることも企業にとっては安心できる点です。
4. 電力オークションの注意点
電力オークションは、電力会社を探している企業が利用できる便利な比較方法です。一方で、利用する際には注意すべき点もいくつかあります。以下では、2つの注意点を取り上げて詳しく解説します。
4-1. 価格が不安定
電力オークションでは、価格が不安定になる傾向があります。電力オークションを実施するタイミングや応札する電力会社の数、各社の入札価格、入札の流れなどといったさまざまな要素が最終的な価格に影響を及ぼすためです。
日本の景気や社会情勢が価格を左右するケースも起こるでしょう。結果として、希望価格よりも高く落札し、電気料金を削減できない可能性もあります。価格が不安定である点を理解した上で、電力オークションを利用してください。
4-2. 電力需要によっては価格が上がる
電力オークションの価格は、電力需要によって上下する場合があります。例えば、猛暑や極寒のためにエアコンの稼働時間が極端に増えると、電力会社は電力需要の上昇を考慮し、入札価格を上げるというリスクが高まります。
さまざまなリスクを想定した上で、電力オークションに臨んでください。自社に有利に電力オークションを活用するためには、電力需要が低かったり、電力供給が安定したりしている季節やタイミングを狙うなどの対策を講じることも大切です。
1.仲介会社に問い合わせする/サービスサイトに登録する
仲介を行う会社に問い合わせをします。または電力オークションの仲介サービスサイトに、自社の基本情報を入力して登録し、マイページをつくります。
2.電力オークションを行う準備をする
仲介会社との面談、または登録したサイト内のマイページや専門ページなどに、電気を使用する施設や目的などを入力し、電力オークションを行うための準備をします。
3.過去の電気使用情報をアップロードする
過去の電気使用に関する情報として、電気料金明細書をPDFファイルやJPEGファイルにして指定のページにアップロードします。対象となるのは、過去1年分の電気料金明細書などです。郵送によるコピーの提出が受け入れられる場合もあります。
4.電力オークションを実施する
電力オークションを開始します。期間は2週間程度です。通常、電力会社による入札価格の動向を確認することは可能です。
5.交渉する電力会社を選ぶ
電力オークションの結果を確認します。応札した電力会社が複数あった場合、自社に最適な1社を交渉相手として選びます。
6.電力会社と交渉し、契約を結ぶ
候補として選んだ電力会社と連絡をとり、疑問点や要望を伝えて細部にわたる交渉や調整をします。両社が同意したら、契約を結び、電力会社を切り替えます。
上記は、あくまでも一般的な流れです。仲介サービスサイトによって電力会社を切り替える手順が異なることに留意してください。
まとめ
電力オークションは、企業が電力契約を最適化するための競争システムで、入札価格を競り下げるリバースオークション方式が採用されています。企業は多くの電力会社から低価格の提案を受けられ、一括見積りと異なり価格の透明性が高いのが特徴です。メリットには競争性、比較の幅広さ、やり取りの簡便さがあり、デメリットとして価格の変動や需要による影響が考えられます。
電力オークションの流れは仲介オークションによってさまざまです。一般的にはサイトに登録し過去の電気使用情報をアップ後、電力オークションを実施して電力会社による入札価格を確認してから交渉する電力会社を選びます。
▶ホールエナジーの電気料金比較サービスの資料をダウンロードする
