電気料金の契約プランとは?各プランの特徴やメリットデメリットを分かりやすく解説

2022年のロシアによるウクライナ侵攻時、世界的に石炭や石油、LNGの価格が大きく高騰しました。
化石燃料を輸入に頼る日本も大きな影響を受け、特に電力業界は発電コストが爆増したため採算が取れなくなり、倒産や事業撤退を余儀なくされた電力会社が多発しました。
そのような危機を乗り越えるため、電力会社は非常に多彩な契約プランを打ち出し、赤字を回避して需要家を守るために奮闘しています。
とはいえ需要家目線で考えると、プランが多彩なことは自社に最適なものをしっかり選び取る必要性が出ています。
今回はそんな電力会社が提供する各プランの特徴を見ていこうと思います。
1.契約プランは大きく分けて4つ
現在電力会社各社が提供する契約プランは、大きく分けて4つに区分されます。
分け方は、燃料調整費(燃調費)の決定の仕方によって決まります。
燃調費については、以下の記事で詳しく解説しております。
電気料金高騰の一因!「燃料費調整制度」とは?
燃料・市場調整 | 燃料調整 | 市場連動 | 完全固定 | |
---|---|---|---|---|
リスクリターン | 中 | 中 | 大 | 小 |
燃調費負担 | 有り | 有り | メニューによる | 無し |
影響を受けるもの | 燃料価格 電力市場価格 |
燃料価格 | 電力市場価格 | 無し |
電力会社プラン名例 | ベーシックプラン | 市場調整ゼロ | 市場価格連動 | 完全固定 |
2.各プランの特徴、メリット・デメリット
ここからは、それぞれのプランの特徴について詳しく見ていきます。
2-1.燃料・市場調整
燃料・市場調整プランは現在最もオーソドックスなプランで、東京電力を始めとする地域電力が標準プランとして打ち出しています。
このプランは、燃調費の決定のために石炭・石油・LNGの価格を用いています。
世界的にこれら化石燃料の価格が上がれば燃調費も上がり、逆に下がれば燃調費も下がります。
また、日本は化石燃料はほぼ全量を輸入に頼っているため、為替の影響も受けます。
加えて、燃料価格の他に電力市場によっても価格が上下します。
化石燃料の国際的なマーケットだけでなく、日本国内のみのマーケットの影響も受けるため、例えば世界的に化石燃料の価格が下がったとしても、国内の電力需要が高まれば燃調費も上がります。
ただ、後述する市場連動プランに比べると電力市場の影響は少なく、およそ30%程度となっています。
燃料価格、及び市場価格の両方の影響を受けるため、リスクリターンは中程度となっております。
市場高騰によるリスクが少ない分市場が下振れた時のリターンも少なく、市場が落ち着いている時は他のプランの方が安くなる場合が多いです。
2-2.燃料調整
燃料調整プランは燃料・市場調整プランと似ていますが、電力市場の影響を全く受けません。
変動要素が少なくなっている分、リスクリターンは燃料・市場調整プランよりも少ないです。
燃料・市場調整プランは2023年より電力会社が採用し始めたもので、それ以前はほとんどの電力会社はこの燃料調整プランで供給を行っていました。
ウクライナ侵攻を受けて電力市場が高騰したことにより、市場から電力を調達する分の調達価格が料金に反映できない事態を解決するために燃料・市場調整プランが登場しました。
そのため、現在燃料調整プランで供給を行っている電力会社は非常に少なくなっています。
ただ、電力市場が高騰した場合は比較的安価になりやすいプランです。
2-3.市場連動
市場連動プランは、燃調費が電力市場の影響を大きく受けたり、燃調費の負担がない代わりに従量料金が市場価格によって変動するプランです。
そのため、市場が落ち着いている時は価格的メリットがとても大きいですが、逆に市場が高騰した場合のリスクも大きいです。
また、影響の受け方もメニューによっては30分ごとに変動する場合もあります。
電力市場の価格は通常、太陽光が稼働できる日中が安く、夜間が高いです。
そのため、市場が安い日中に多く電気を使う場合、そのメリットをより多く享受できます。
2023年~2025年前半にかけて、電力市場は比較的安価に推移しておりました(1kWhあたり月平均9~15円程度を推移)。
電力市場の影響を大きく受ける市場連動プランも、この期間はかなり価格的なメリットを受けられていたかと思われます。
ただ、ウクライナ侵攻直後は1kWhあたり25円程度を推移したこともあり、やはりリスクが大きいのと、市場を先読みする力が問われます。
2-4.完全固定
完全固定プランはその名の通り、燃料価格や市場価格の影響を全く受けないプランです。
燃調費の負担も無く、基本料金や従量料金の変動も無いため、先々の見立てが立てやすい側面もあります。
但し、変動要素が無い分燃料価格や市場価格が下がった時の価格の下振れも無いです。
また、完全固定プランの単価の決定方法は、電力会社が電力の先物市場の価格を参考に向こう1年間の電力価格を予測し、赤字にならないラインで設定します。
先物市場はその時の電力市場が安価なほど安価になるため、その時の電力市場が安い程安価な提案が出てきやすいです。
電力市場が安価な時にご契約をすると、その市場価格を固定化し、メリットを一定期間享受し続けられる、ということになります。
逆に電力市場が高価な時に契約してしまうとメリットが少ないまま固定化されてしまうため、契約タイミングをきちんと考慮する必要があります。
3.電気の使い方によって最適なプランは変わる
各プランの特徴を見てきました。
それぞれにメリットデメリットがあり、プラン選びによって料金も大きく変わる場合もあります。
また、その物件の電気の使い方によっても最適なプランは変わってきます。
弊社ホールエナジーでは、お客様ごとに最適なプランのご提案や、現在のご契約が安価かどうかの診断も行っております。
いまの契約が本当に最適なものなのか?気になった場合はぜひ弊社までご連絡下さい。
