省エネ法の改正、いつから?何が変わる?徹底解説!

2022.01.17
ESGSDGsカーボンニュートラル再エネ調達環境価値電力業界制度

日本国内でのエネルギーに関する制度といえば、「省エネ法」が挙げられます。
省エネ法は元々、オイルショックを受けてエネルギーを効率的に使用するために制定されました。

この省エネ法は定期的に制度を改正し、時代の変化に対応した形となってきました。

これが現在、2050年カーボンニュートラル実現のため、2023年4月施行を目指し更なる改正が行われようとしています。
この改正により制度がどのように変わるのか、それによりどんな影響があるのか、
今回は解説していこうと思います。

省エネ法とは

改正について話す前に、大まかにこれまでの省エネ法制度についてまとめていきます。

省エネ法はオイルショック以降のエネルギー逼迫に対応するため制定されたもので、工場・輸送機関等に対して使用エネルギーの省力化を義務付けています。

出典:経済産業省「今後の省エネ法について」

特に使用エネルギーが多い事業者に対しては取り組み状況を定期的に報告する義務もあり、省エネが停滞している事業者に対しては政府からの指導が入る場合があります。

今後の改正案について

省エネ法はその名の通り省エネを推進するための制度ですが、
現在の世界の流れとしては、単に省エネを実現するだけではなく、
カーボンニュートラルの実現のために自然エネルギーの導入を推進していかなければいけません。

そのため、今回の改正では太陽光などの非化石エネルギーの導入拡大に焦点を当てています。

現在検討されている省エネ法の見直し事項は以下の3点です。

  • 使用の合理化の対象の拡大【エネルギーの定義の見直し】
  • 非化石エネルギーへの転換に関する措置【新設】
  • 電気需要最適化に関する措置【電気需要平準化規定の見直し】

それぞれ見ていきましょう。

使用の合理化の対象の拡大【エネルギーの定義の見直し】

現行の省エネ法では、化石エネルギーの使用を合理化することを目的としています。
ですので、太陽光などの非化石エネルギーは対象外となっています。

今後非化石エネルギーの導入を推進することを考えると、その総量が課題になってきます。
水素やアンモニアによる発電は海外からの輸入に頼らざるを得なく、
太陽光はそもそも建設できる土地の広さにおける発電総量が使用総量より少ないと言われています。

それを改善すべく、今後は省エネ法によるエネルギーの定義を見直し、
非化石エネルギーも削減努力・報告の対象とするのが良いのではないかと検討されています。

非化石エネルギーへの転換に関する措置【新設】

各事業者が使用する非化石エネルギーの省エネ化を推進するだけでなく、
更なる非化石エネルギーの導入も加速させていく必要があります。

現行の制度では、非化石エネルギーの導入分については化石エネルギー使用分のオフセット扱いになるものの、非化石エネルギーへの転換を促すための積極的な評価ができません。

そのため、今回の改正ではこれまでの省エネの報告だけでなく、
非化石エネルギーの導入度合の進捗の報告や、中長期的な導入計画の作成を義務付けることが検討されています。

また、非化石エネルギーの定義についても見直した方が良いのではないか、という点も議論されています。

省エネ法が制定された当時に比べ、非化石エネルギーの種類は非常に多岐に渡ります。
オンサイト・オフサイトの太陽光に加え、バイオマス混焼、水素・アンモニア由来、クレジットによるオフセット等、
これらの調達方法によるエネルギーも需要家自らの取り組みとして認めても良いのではないか、ということです。

まとめると、

①これまでの報告に加えて非化石エネルギーの導入量についても計画・報告する。
②非化石エネルギーの定義を広く取り、産業全体としての導入推進を促す。

の2点となります。

電気需要最適化に関する措置【電気需要平準化規定の見直し】

現行の省エネ法では、東日本大震災を受け、夏冬の昼間に電気使用を抑えること(ピークカット)を求めていました。
昨今ではデマンドレスポンス等、発電事業者の要請によりピークカットを行うという仕組みも確立しています。

ただ、この制度は再エネの導入量増加を後押しするものではなく、
例えば太陽光の発電量が多くなる昼間にピークカットをする(=需要量が減る)と、同時同量の実現のために発電量を抑制しなければなりません。

それを防止するため、電気使用を再エネ余剰電力が出やすくなる昼間にシフトしたり、電力逼迫時に需要を抑制したりと柔軟に対応できるよう改正していく予定です。

改正後に求められる対応とは

さて、ではこのような制度改正を受けて私たちはどのような対応を行う必要があるのでしょうか。

この改正が施工されることによって、それまで再エネ導入にあまり積極的でなかった企業が導入に踏み出すことが予想されます。
そのため、限りある再エネをめぐって各企業が取り合いになり、争奪戦になってしまうと思われます。

そうなった場合、再エネの調達コストは需要の増加に伴って上昇していくものと思われます。
また、需要が増えることによって再エネの発電量が足りなくなり、再エネを導入したくてもできない可能性も加味しなくてはなりません。

サプライチェーンや金融機関などの要請が強まり、再エネの利用拡大スピードは今後さらに加速するだろう。自社による再エネ電源の導入も進めるが、電力会社からの再エネ電力の購入は欠かせない。だが、電力会社の再エネ供給スピードが遅れると、再エネの供給不足が起こる可能性がある。そのような状況になったら国はどう対応するのか。

一般社団法人電子情報技術産業協会 常務理事 川上景一

やはり求められるのは早急に再エネ導入の手法を確立すること、
そして時代・自社に合った再エネ導入を実施し続けていくことです。

弊社ホールエナジーでは、各企業に最適な再エネ導入方法を提案しており、
また、電力市場の最先端の情報を提供し、継続的なサポートも行っております。

非化石証書の調達については、以下のコラムをご覧ください

ついに需要家も解禁!FIT非化石証書の購入について

少しでも気になったり、再エネについての情報収集を行っている場合は、
ぜひお気軽にお問い合わせください。

参考資料

今後の省エネ法について 2021年12月24日 資源エネルギー庁