カーボンオフセット認証を取る方法|取得する意義や手順をわかりやすく解説

2023.08.03
ESGカーボンニュートラル脱炭素

企業による環境問題への取り組みに注目が集まる中、カーボン・オフセット認証について興味を持つ企業も多いのではないでしょうか。
カーボン・オフセット認証とはどのような制度か、その認証はどのようにして取得できるか、具体的な手順を解説します。
カーボン・オフセット認証の取得を検討している企業担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

  カーボンニュートラルへ向けた、

企業が取るべき具体的アクションとは?

カーボン・オフセット認証制度とは

「カーボン・オフセットの認証制度」とは、企業などが実施するカーボン・オフセットへの取り組みに対して、認証機関である一般社団法人カーボンオフセット協会が認証基準を満たしていることを確認し、認証を付与する制度のことです。

目的としては、信頼性の高いカーボン・オフセットの取り組みを普及し、企業や消費者に二酸化炭素を排出していることの認識や削減努力を促すことがあげられます。
なお、一部署、個人でも認証を取得することが可能です。

現在の認証制度は「カーボン・オフセット第三者認証プログラム」

現在の認定制度は、2017 年4月1日から環境省より民間移行しました。
「第三者認証プログラム」として、一般社団法人カーボンオフセット協会が運営しており、環境省の公開文書に準拠しながら実施されています。

なお、認証機関は一般社団法人 日本能率協会 地球温暖化対策センター(JMACC)、一般財団法人 日本品質保証機構、ソコテック・サーティフィケーション・ジャパン株式会社です。
認証を取得するかどうかは、取り組みを行う企業が、規模や内容から選択できるようになっています。

「カーボン・オフセット第三者認証プログラム」は「カーボン・オフセット認証」と「カーボン・ニュートラル認証」の2種類

「カーボン・オフセット第三者認証プログラム」は、「カーボン・オフセット認証」と「カーボン・ニュートラル認証」の2種類に分類されており、一般社団法人カーボンオフセット協会は、両方の認証制度を運営しています。

どちらも認定までの流れは似ていますが、カーボン・ニュートラル認証の方が、認定基準はより厳格です。

「カーボン・オフセット認証」を取得するには

カーボン・オフセット認証を取得するための条件や内容について、見ていきましょう。

申請者の条件

カーボンオフセット協会では、申請者になるために以下の条件を挙げています。

1.認証の対象となる活動を現に実施していて認証対象活動に対する適正管理義務を負う者
2.認証機関から独立し利害関係を有していない、かつ国内外における法令を遵守していなければならない

【引用】カーボンオフセット協会|カーボンオフセット第三認証プログラム Q&A

企業・団体でも、1部署単位でも、個人でも、複数の者でも申請可能

カーボンオフセット協会によると、企業・団体はもちろん、1部署単位でも「申請者の条件を満たす者であれば申請可能」とされています。
また、個人でも「認証対象取組に対する適正管理義務を負うこと者であることを前提として申請可能」、複数の者で申請する場合は「認証対象活動に対して互いに適正管理義務を負う者であれば共同申請も可能」とされています。

【引用】カーボンオフセット協会|カーボンオフセット第三認証プログラム Q&A

一定の基準をクリアした場合に認証される

環境省の「カーボン・オフセット第三者認証基準」に基づき、一定の基準を満たした場合に認証となります。

「カーボン・オフセット認証」は初めてカーボン・オフセットに取り組む場合でも比較的取得しやすい

先ほども少し触れましたが、「カーボン・オフセット認証」の方が比較的取得しやすいと言えるでしょう。
理由としては、温室効果ガス排出源のすべてを排出量として算定する必要がない点や、削減努力も定量ではなく、削減に取り組む姿勢といった定性的な評価であることが挙げられます。
一方、「カーボン・ニュートラル認証」の場合は、認証基準はより厳格となり、二酸化炭素削減量は、基準とする年を設定し、明確な数値を示す定量的な評価を行わなければなりません。

カーボン・オフセット認証」と「カーボン・ニュートラル認証」との違い

カーボン・オフセットとは、自らが排出した温室効果ガスの内、削減が難しい量の全てまたは一部を、他の場所や他の方法で埋め合わせることを指します。

カーボン・ニュートラルは、事業活動などで排出される温室効果ガスの全てを、他の場所や他の方法で埋め合わせるという考えです。カーボン・オフセットを、より深めた内容となり、認定基準のハードルは高くなります。

 「カーボン・オフセット認証」を企業が取得する目的や意義

企業が認証を受けるメリットとして、社会からの信頼性が高まる、組織のブランドイメージ向上といった、対外的なものが挙げられるでしょう。
消費者の環境問題へ対する意識も年々高まっている傾向にあります。
企業として、どのような姿勢で環境問題に取り組んでいるか、わかりやすくアピールすることができます。

また、認証取得を目指す企業が増えることで、二酸化炭素削減の動きも加速すると期待されています。 社会全体として環境問題へ取り組む意義は、非常に大きなものだと言えるでしょう。

「カーボン・オフセット認証」取得の手順・費用・有効期間

認証を取得するまでの流れや手続きについて、詳しく見ていきましょう。
なお、内容は2023年3月時点のもので、一般社団法人カーボンオフ協会のホームページを参考に記載しています。
最新情報については、必ず一般社団法人カーボンオフ協会のホームページで確認するようにしてください。

【引用】カーボンオフセット協会

認証取得の手順

認証取得の手順は、以下の通りです。

1.制度管理者(カーボンオフセット協会)へ制度利用申請書を提出(データ・メール添付)

※取り組みごと(申請ごと)にその都度提出。ただし認証番号の継続を希望する場合は提出不要。

2.認証機関へ申請

3.認証基準に基づいて審査

4.認証された場合、認証番号とラベルが付与される

なお、認証取得までの日数は取り組み内容によって異なります。必要に応じて、認証機関へ確認してください。

認証取得時に発生する費用

  • 登録申請料

初年度5万円、継続時1万円(環境省旧制度参加者が同プリジェクトで参加する場合は継続扱い)

  • ラベル使用料(年間)

協会加盟のプロバイダ経由の場合:大企業10万円、中小企業3万円。

前記以外での申請の場合:大企業15万円、中小企業5万円

(環境省旧制度参加者が同プリジェクトで参加する場合は半額)

・認証費用→各審査機関に個別で見積もりを依頼する

・コンサルティング費用→企画、算定、証書の発行、申請書作成代行等の個別見積もりを各プロバイダへ依頼する

認証の有効期間

認証有効期間は、認証日から1年以内の任意の日から1年以内の期間で設定できます。
なお、認証を取得した日が認証有効期間の開始日を過ぎてしまった場合、改めて認証有効期間を設定する必要があるので注意しましょう。
この期間は、認証書の公表はもちろん、オフセットラベルの使用も可能です。

「カーボン・オフセット」「カーボン・オフセット制度」とは

カーボン・オフセットとは、地球温暖化対策のため、温室効果ガス排出量を抑制する取り組みです。

二酸化炭素の排出量をゼロにすることは難しい現状があるため、排出した全てまたは一部を、別の場所や方法で埋め合わせる(オフセット)という考えです。
二酸化炭素排出量を削減するために、再生可能エネルギーの利活用といった技術によるオフセットや、二酸化炭素を吸収する森林の管理・育成などといった自然によるオフセットが、具体的な方法として挙げられます。
なお、カーボン・オフセットの取り組みを認定する制度として、2012年以前は「カーボン・オフセット認証」と「カーボン・ニュートラル認証」という2つの制度がありました。

現在は「カーボン・オフセット制度」として、統合されています。

 「J-クレジット制度」とは

「J-クレジット制度」とは、再生可能エネルギーの導入による温室効果ガスの削減量や、植林活動による吸収量をクレジットとして販売する制度です。

カーボン・オフセット制度と同様に、二酸化炭素の削減に向けた取り組みで、国が認証、運営しています。
なお、クレジットを活用した制度に「オフセット・クレジット(J-VER)制度」があります。
達成された排出削減・吸収量を、定められた方法に従って数値化し、取引可能なオフセット・クレジットとして認証する制度です。

企業などによるカーボン・オフセットの取り組み事例

企業でも、様々なカーボン・オフセットに対する取り組みが行われています。

とある企業では、自動販売機の使用や配送により排出される二酸化炭素を、自社のあるエリアの一般家庭に太陽光パネルを設置したり、クレジットを購入したりすることにより、オフセットを実現しました。
また施設で排出される全ての二酸化炭素をオフセットにすることを前提として、1商品につき1円のクレジットをつけて販売した団体や、戸建住宅建築時に発生する二酸化炭素を植林でオフセットしている企業などもあります。

年々、企業レベルでの環境への取り組みの重要度が増している

年々環境問題は深刻化しており、二酸化炭素削減に向けた努力をしていない企業に対して、世界的に厳しい目が向けられるようになってきています。

日本においても例外ではなく、企業レベルでの対策がさらに重要となることでしょう。

経済活動を行う上で、二酸化炭素の排出をゼロにすることは難しい現状があります。

その中でも、再生可能エネルギーへの転換、エネルギー効率向上などの排出量削減対策を行ったうえで、残った排出量をオフセットで打ち消すというカーボン・オフセットの流れが、重要な取り組みとなります。 削減量を減らす、そして実質ゼロを目指すことが、企業努力としても必要となっているのです。

まとめ

カーボン・オフセット認証とはどのような制度か、取得する方法や手順についてご紹介していきました。
企業として環境問題へどのように取り組んでいくかは、今後ますます重要となってきています。
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  カーボンニュートラルへ向けた、

企業が取るべき具体的アクションとは?

参考記事

カーボンオフセット協会 カーボン・オフセット第三者認証プログラム

ELEMINIST カーボン・オフセット制度とは 認証の仕組みと概要・事例をわかりやすく紹介