需要家・仲介事業者の購入が可能になった11月の非化石証書入札結果はいかに?!

2021.12.22
ESGSDGsカーボンニュートラル再エネ調達再生可能エネルギー環境価値

2021年11月より、需要家や仲介事業者の直接参加を可能とした再エネ価値取引市場が開始されました。ここでは、FIT非化石証書の取引が行われています。FIT非化石証書とは、使用している電力が実質再エネであることを証明するためのものです。

弊社もJEPXへの会員登録を済ませ、取引に参加しています。そこで、今回は、気になる11月の取引結果や、改めて非化石証書の特徴などを書いていきます。

2020年度の総約定量を上回る取引結果に

これまで小売電気事業者しか買えなかったFIT非化石証書。それが2021年11月の取引から、需要家や仲介事業者の購入できるようになり、注目が集まっていました。また、最低価格も1.3円/kWh(税別)から、0.3円/kWh(税別)と見直され、調達のハードルが下がることが期待されていました。

そんな中、行われたFIT非化石証書のオークション。なんと、2020年度の総約定量を上回る約19億kWhの取引が行われたのです。

出典:経済産業省資源エネルギー庁

また小売電気事業者を行わない需要家は6、仲介事業者は19の参加があったとのことです(添付画像で「仲介事業も行う者という表現になっているのは、小売電気事業者が仲介事業を兼ねているケースがあるためかと思われます」

ところで、19億kWhも取引があったのなら、売り切れてしまうのでは?と思われるかもしれません。しかし、今のところその心配はなさそうです。実は19億kWhというのは、売入札約559億kWhに対しての数字です。すごく取引量が増えたように思えますが、実は全体の約3.5%程度なのです。

お客様からは「せっかく最低価格が下がったのに、入札が増えたら、結局価格が上がるんじゃないですか?」という質問を頂くのですが、この数字を見る限り、当面は価格が跳ね上がることはなさそうです。

では、実際に0.3円という数字は、どれぐらいインパクトがあるか見てみましょう。

1000万kWhの購入を考えた場合(税別)

1.3円×1000万kWh=1300万円

0.3円×1000万kWh=300万円

これを見てもいかに価格が下がったかが分かりますよね。

「再エネ由来の電力を使いたいけど、コストが負担に。。。」となっていたお客様も、この価格であれば、検討の幅が広がるのではないでしょうか。

国際ルールと国内ルールでは、評価が違う

FIT非化石証書を購入することで、少しでも再エネの普及に貢献できるのはもちろんですが、各機関の評価基準も気になるところです。

実は国際ルールと国内ルールでは、少し評価の仕方が違います。

出典:経済産業省資源エネルギー庁

国際ルール(RE100、CDP等)は、kWhベースで、国内ルール(温対法)は、t-CO2ベースなのです。

つまり、国際ルールの場合、使用している電力と同じ数の非化石証書(トラッキング付き)を取得することで、実質再エネやCO2フリーを謳うことができます。

一方で国内ルールでは、使用電力量と同じ量の非化石証書を取得しても、必ずしもCO2フリーになるとは限らないのです。現在契約中の小売電気事業者の排出係数と非化石証書が持つゼロエミ価値を比較する必要があります。

非化石証書によるゼロエミ価値は、全国平均係数となっています。したがって、現在ご契約中の小売電気事業者の排出係数が高い場合は、使用電力量より多い非化石証書を購入する必要が出てきます。

例)

現在ご契約中の小売電気事業者の排出係数 1t/kWh

FIT非化石証書のゼロエミ価値      0.5t/kWh

この場合、1kWh分の非化石証書を取得しても、0.5tしかオフセットできません。そのため、1kWhの使用電力量に対し、2kWh分の非化石証書を取得する必要があるのです。

このように再エネやCO2排出量を報告する先がどの機関なのかによって、取得すべき量が変わってくるので、ご注意ください。

気になる次回は

次回のFIT非化石証書オークションは、2月上旬に開催予定です。なお、2021年度分の取引は、残すところ2月と5月です。この2月と5月のオークションで取得した非化石証書が、2021年度の使用電力量に付帯することができます。

2021年度の電力を実質再エネ化したいお客様。今からでも遅くありませんので、2月の取引での調達を検討されてみてはいかがでしょうか?もちろん弊社も2月も参加する予定です。購入を希望されるお客様からの問い合わせも増えてきています。

実は、あまり知られていないのですが、2月の取引で非化石証書を調達する場合、トラッキングの申請は、1月の上旬に行わなければなりません。2月まで時間があるように感じますが、トラッキングを付けるのであれば、すぐに取り掛かる必要があります。

トラッキングの有無は、RE100等の国際ルールでは求められます。さらに。今は、無料でトラッキングを付けることができます。非化石証書を調達するのであれば、トラッキングはセットにしたほうが、メリットが大きいと言えそうです。

この記事を読んで、少しでも興味を持っていただいた方がいらっしゃればお気軽にお問い合わせください。

最後に

「非化石証書を購入することは、環境価値をお金で買っているだけだ」という声もあると聞きます。そのような見方もあると思いますが、実は、非化石証書を購入することは、間接的に再エネを普及させることにつながっています。

非化石証書の売り上げは、国民の再エネ賦課金の負担を軽減するために使われています。今、FIT制度は国民負担によって支えられています。そして、年々その価格は上昇しています。非化石証書の購入が増え、少しでも国民負担を減らすことは、FIT制度による再エネ発電を、守っていくことでもあるのです。

持続可能な社会実現のため、まずは非化石証書の購入を検討してみてはいかがでしょうか?

弊社では、再エネ導入の実現に向けて、非化石証書の代理購入、お客様に最適な電力会社のご提案等も行っています。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

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コラム参考資料
再エネ価値取引市場について 経済産業省資源エネルギー庁
現行の係数算出方法における課題と対応 経済産業省資源エネルギー庁