省エネ法の改正による非化石証書への影響は?対象分野や改正内容も解説

2023.02.21
カーボンニュートラル環境価値非化石証書
省エネ法の改正による非化石証書への影響は?

非化石証書とは、化石燃料を使用しない非化石電源の環境的な価値を証書にしたものを指します。
また、省エネ法は「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」のことです。

この記事では、非化石証書や省エネ法の概要、規制する分野、省エネ法の改正内容、改正による影響や対応方法について解説していきます。

非化石エネルギーへの転換を検討している企業の担当者さまは、ぜひ役立ててください。

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「非化石証書」とは

石油・石炭などの化石燃料を使用していない非化石電源で発電された電気には、電気の価値に加えて、二酸化炭素を排出していないという環境的な価値が加わります。
その価値を電気とは区別して、証書化したものが非化石証書です。

二酸化炭素を排出しない方法で作られた電気であることを証明することが、非化石証書の役割です。
非化石証書を購入することで、購入分はクリーンエネルギーであることを示せるため、再生可能エネルギーを活用していることを、企業がアピールできるようになりました。

非化石証書の種類

非化石証書には「FIT非化石証書(再エネ指定)」「非FIT非化石証書」「非FIT非化石証書(再エネ指定なし)」の3種類があります。

【FIT非化石証書(再エネ指定)】

  • 再生可能エネルギーのうち、FIT電気の非化石証書。
  • 太陽光、小水力、バイオマス、風力などによって発電される。

【非FIT非化石証書】

  • FIT電気でない再生可能エネルギーの非化石証書。
  • 大型水力などによって発電される。

【非FIT非化石証書(再エネ指定なし)】

  • FIT電気でない非化石電源の非化石証書。
  • 原子力などによって発電される。
非化石証書の種類
非化石証書の種類

参考:資源エネルギー庁 非化石価値取引について-再エネ価値取引市場を中心に-より抜粋

「グリーン電力証書」「Jクレジット」との違い

「グリーン電力証書」とは、再生可能エネルギーの環境価値を取引するための証書です。
再生可能エネルギーだけを対象としていることや、企業や自治体も保有できる特徴があります。

一方、「Jクレジット」とは、温室効果ガスの排出削減量や吸収量をクレジットとして国が認証したもので、企業や自治体も売買可能です。

≫≫≫ 非化石証書とグリーン電力証書の違いは?メリット・デメリットやJクレジットも解説

「省エネ法」とは

「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」を略したもので、オイルショックをきっかけに1979年に制定されました。
工場や輸送事業者、荷主に対し、国が定める判断基準に沿って、化石エネルギーの使用合理化を求めるものです。
燃料資源を有効的に利用できるようにするために、エネルギー使用の合理化を進めるための措置、電気需要の標準化に関する措置などを行い、経済の発展に寄与することを目的としています。

現在の省エネ法における「エネルギー」の定義

省エネ法において、どのようにエネルギーが定義されているのか解説していきます。

燃料

現行の省エネ法で定義されているエネルギーのうち、「燃料」に該当するものは以下となります。

・石油関連(原油、ガソリン、重油、石油製品(灯油、軽油、ナフサ、石油アスファルト、石油コークス、石油ガス)
・可燃性天然ガス
・石炭関連(石炭、コークス、コークス炉ガス、コールタール、高炉ガス、転炉ガス)、加えて燃料電池による発電に供するもの

現行の省エネ法で定義されているエネルギーのうち、「熱」に該当するものは以下となります。

・蒸気、温水、冷水等の燃料を熱源とする熱(太陽熱及び地熱などは除く)

電気

現行の省エネ法で定義されているエネルギーのうち、「電気」に該当するものは以下となります。

・燃料を起源とする電気(太陽光発電、風力発電、バイオマス発電などは除く)

省エネ法が規制する分野

省エネ法では、規制する分野について定められています。
どういった事業者が対象となっているのか、見ていきましょう。

直接規制

エネルギー使用者に対して直接規制する事業分野は、工場・事業場及び運輸分野です。

工場などの設置者、輸送事業者(貨物/旅客)、荷主に対して、省エネの取り組みを行う際の目安になる判断基準を示し、計画の作成指示を行います。

なお、報告義務等対象者の範囲は定められており、以下の通りです。

  • 特定事業者など:エネルギー使用量1,500kl/年以上
  • 特定輸送事業者:保有車両トラック200台以上など
  • 特定荷主:年間輸送量3,000万トンキロ以上”

間接規制

機械器具等の製造業者、輸入事業者に対して、32品目(自動車・家電製品・建物)のエネルギー消費効率の目標を設定し、達成を求めるものです。
効率向上が十分でない場合は勧告を受けるため、企業は目標達成に向けて努力する義務があります。

改正省エネ法により見直される3つのポイント

省エネ法が、2023年4月より改正されます。
改正により見直されるポイントについて確認しておきましょう。

エネルギーの定義への「非化石エネルギー」の追加

現在の省エネ法では、エネルギーの定義を化石燃料や化石燃料由来の熱・電気としています。
今回の改正では、このエネルギー定義に加えて「非化石エネルギー」も追加されており、エネルギー全体で取り組みを進めるように変わりました。

「非化石エネルギー」への転換の促進

工場などで使うエネルギーを、「化石エネルギー」から「非化石エネルギー」へ転換することを求める内容も追加されています。
一定規模以上の特定事業者などに対して、非化石エネルギーへの転換についての中長期計画書や定期報告書の作成・提出を義務付けました。

「電気需要平準化」から「電気需要最適化」への見直し

現在の省エネ法では、電気使用量の多い夏・冬の昼間の「電気需要平準化(=ピークカット)」を電気使用事業者に求めています。
そんなな、太陽光発電施設などの普及拡大により、九州で再エネ電気の出力制御が起きているという状況もありました。
そこで、再エネ余剰電力が出ている時間帯に需要を上げ、需給逼迫時に需要を抑えるなど、状況によって需要の最適化を図る「電気需要最適化」への見直しを掲げました。

省エネ法の改正が与える影響と対応方法

省エネ法の改正にあたり、様々な変化が起きることが予想されます。

1点目は、非化石エネルギーの需要増加です。
これまで位置付けがあいまいだったエネルギー(アンモニア、水素など)が非化石エネルギーと明確化されたことで、非化石エネルギーの需要拡大が予想されます。
需要の増加に伴い、エネルギー源の調達コストが上昇する可能性があります。

2点目は、エネルギー使用量の多い事業者は、非化石エネルギーへの転換についての中長期計画書の作成、整備などが必要になることです。
規制による設備投資や細かい確認作業の実施によって、生産効率が落ちることが懸念されます。
早い段階で再エネ導入に向け、調達方法などを確立させることが重要です。

まとめ

非化石証書や省エネ法の概要、規制する分野、省エネ法の改正内容、改正による影響や対応方法について解説していきました。
エネルギーに関する関心は高まり、状況や制度も日々変わってきています。
非化石エネルギーへの転換を検討している方は、この機会にぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

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参考資料

資源エネルギー庁 省エネ法の概要
国土交通省 改正省エネ法を踏まえた対応について
脱炭素経営ドットコム 次の省エネ法の改正はいつ?見直される3つのポイントとは
エバーグリーン・マーケティング株式会社 【ポイント解説】省エネ法をはじめとする改正案が閣議決定。企業にはどんな影響があるのか?